【かしわおにぎりの中で一番好きな味】
2月頃の話かな?
コロナが始まる前だった。
僕は友人の結婚式に参加するためダイエットをしていた。
仕事終わりにジムに行き、鶏胸肉とほうれん草を食べる毎日だ。
いわゆる糖質制限(食事療法)と運動療法をしていた。
それが続けれたのは、たまに行く【たつの申し子】のお陰だった。もちろん無駄な炭水化物は控えていたが、飲んで笑って飲んで眠って。これがこの上ない幸せだった。
そして、また糖質制限をする。
これがしばらくの日課だったような気がする。
しかし、事件は起きた。
福岡の講演会グループの交流会で訪れた時だ。
いつも美味しい料理と楽しい時間を提供してくれる【たつの申し子】さんへ皆んなで行った。
店長をはじめ、オーナーのアッキー夫婦、スタッフは最高だ。
この日も美味い料理に美味いお酒、楽しい仲間で大いに盛り上がっていた。
そんな矢先の出来事だった。。。
静かに足音も立てずにそっとやって来た。
そう。【かしわ飯のおにぎり】だ。
話に集中していた僕たちでさえ、その存在感は感じずにはいられなかった。
5感あるうちの嗅覚が異常に反応した。
一生分の嗅覚を使ってしまうのではないかと思うほどの香りが脳内を掛け巡らされた。同時に「この香りが嗅げるなら嗅覚を失ってもいい」とまで思いかけた。
かしわとダシの優しい香りと炊きたて特有の包み込むようなお米の香りを身にまといやって来た【かしわおにぎり】は、まるで糖質制限をしている僕をあざ笑うかのようにテーブルに現れた。
メイン料理もすぎ、お腹も心も満足に満ち溢れた僕たちの前に、最後の締めのポジションでやって来たはずの【かしわおにぎり】
その輝きや存在感はダイヤモンドよりもはるかに僕を魅了した。
しかし。僕は糖質制限ダイエッター。
決して食べるわけにはいかない。
この肩書きにかけて僕は決して食べるわけにはいかないのだ。
ただ、そんな思考も遅かった。
僕の体は脊髄反射レベルで【かしわおにぎり】を手に取り、口に運び、咀嚼とともに【かしわおにぎり】の香りと味を楽しんでいた。
『幸せだった。』
「一つなら食べてもいいんじゃないか」と思ったときにはもう手に持っていた【かしわおにぎり】はなかった。
たつの申し子は僕の脳や脊髄を侵食していた。
今考えると、おそらくあの時の香りだ。
普段味気のない胸肉にほうれん草を食べていたのが仇となったのかもしれない。
ただ気づけば目の前にあったはずの【かしわおにぎり】3個 がなくなっていた。
僕はその日から糖質制限ダイエッターをやめた。
暇人脚本家
ひら藤 そろひと
絶対に買いに行きます!!!!
ウーバーとかでも出たら頼もう!!!
これ食べたほうがいい類のやつです。
もちろん、鳥つくねチーズコロッケも格別です。